アルカリイオン水とアルカリ電解水には、それぞれ用途の違いがあるので使い方を間違えないようにしなければいけません。ただ、どちらも製法は同じ電気分解で生成されています。
現在普及しつつあるアルカリ電解水の安全性は高いと考えている専門家が多いようですが、長期的な影響に関する研究は極めて限られています。
pH(ピーエイチ)は酸性とアルカリ性を表す指標で、pH7.0が中性で7.0未満が酸性、7.0超がアルカリ性を表します。
人間の体は、肺と腎臓を使ってpHを維持しています。pHは7.2~7.4の範囲が生命維持に重要で、この範囲を下回るとアシドーシス、上回るとアルカローシスと呼ばれます。
肺や腎臓の病気がない限り、摂取する飲料や食品に関係なくpHは調節されています。
弱アルカリ性の水を飲むと、血液に入る前に胃の中の酸で中和されるのだそうです。
アルカリイオン水の支持者は、脂肪燃焼を高めて酸性血液を中和し、抗酸化物質として働くと考えています。老化プロセスを遅らせ病気を治すと言いますが、支持しない学者も多いです。
典型的な現代の食事は、タンパク質や加工食品が多く含まれているため、酸性に傾いています。
そこでアルカリ電解水の導入を考える人も多いでしょう。
しかし、体内の酸性の負荷を減らす最良の方法は、アルカリ水を飲むことではありません。
その代わりに、全粒穀物や果物、野菜などの植物性食品を豊富に含む食事をすることです。
アルカリ電解水ダイエットの支持者は、体のpHを上げることによって多くの病気を予防することができると主張しています。
この根拠は、酸性食品を食べることが健康上の問題につながる体の酸性度を上げるという前提です。
ところが、バランスのよい食事をして体の機能を正常に働かせれば、体のpHは自然と整っていくのです。
そう考えると、高pHのアルカリ電解水を飲水として飲む必要はありません。
このような使い方は危険でもあります。
アルカリ電解水の副作用として消化不良や腎臓疾患の悪化、皮膚の乾燥やかゆみなどが考えられます。まだはっきりとしたことはわかっていませんが、リスクがある以上、避けるのが賢明です。
アルカリイオン水は、飲料用に作られていますが、アルカリ電解水は、一般雑貨用に作られているものがほとんです。
しかし、アルカリ電解にも良い面が多くあります。
例えば、アルカリイオン水に含まれるマイナスイオンは、空気中の浮遊粒子を吸着して浄化する作用があるため、室内の空気をきれいにすることができます。
また、アルカリイオン水は、水道水に含まれる塩素や不純物質を除去し、美味しいお茶やコーヒーを淹れることができます。
ただし、アルカリ電解水は、野菜などを洗ったり、食器やまな板など食に関する道具に対して、補助的な役割を持つものです。
また、アルカリ電解水は、アルカリイオン水よりもpH値が高いため飲料用としてはお勧めできませんが、万一少し口に入っても人体には影響はありません。
ただ、誤って多量に飲んでしまった場合は、大量の水で薄めてから念の為、かかりつけの医師に指示を受けてください